急性中耳炎について

 ここでは、お子様が発症しやすい急性中耳炎について詳しく見ていきましょう。



急性中耳炎の初期症状は?

急性中耳炎は、乳幼児や幼児に多く見られる耳の病気の一つで、風邪などのウイルスや細菌感染に続いて発症することが多いです。特に、6ヶ月から3歳の子供に多く見られる傾向があります。
主な初期症状は以下の通りです:

  • 耳の痛み(耳を触る・引っ張る動作):まだ言葉で表現できない年齢の子供は、耳を頻繁に触ったり、泣き止まないことで痛みを訴えます。
  • 発熱:38度以上の高熱が出ることがあります。
  • 不機嫌・ぐずり:機嫌が悪く、抱っこしても泣き止まないことがあります。
  • 食欲不振・哺乳拒否:耳の痛みから食事や授乳を嫌がることがあります。
  • 睡眠障害:耳の圧迫感や痛みで夜中に何度も起きてしまうことがあります。
  • 耳だれ:中耳にたまった膿が鼓膜を突き破って出てくると、耳から液体が出ることもあります。

これらの症状は、風邪の症状(鼻水、咳など)と重なることが多く、風邪の後に発症するケースが大半です。



急性中耳炎になったらどれくらいで治る?

急性中耳炎の自然経過は、子供の年齢や重症度、体力などによって異なりますが、通常は以下のような流れで改善していきます。

  • 軽度の場合:抗生物質を使用しなくても自然治癒することがあり、3〜5日で症状が改善することもあります。
  • 中等度〜重度の場合:医師による診断と適切な抗生物質治療が必要で、治癒には約7〜10日程度かかります。
  • 再発性中耳炎:一度治癒しても再発を繰り返す場合もあり、この場合は数週間にわたって治療が必要になることもあります。

また、治癒後も一時的に鼓膜の奥に液体が残る「滲出性中耳炎」が残ることがあり、これが原因で聞こえづらくなる場合もあります。この状態は自然に改善することが多いですが、経過観察が必要です。



急性中耳炎になった場合の処置方法は?

急性中耳炎と診断された場合、家庭と医療機関で行う主な処置やケアは以下の通りです。

医療機関での処置

  • 診断:耳鏡による鼓膜の観察、鼓膜の赤みや膨らみ、耳だれの有無を確認します。
  • 薬物治療:抗生物質(アモキシシリンなど)、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を処方されることが一般的です。
  • 耳だれがある場合:耳の洗浄や点耳薬が処方されることもあります。

家庭でのケア

  • 安静に過ごす:無理に外出させず、家でゆっくり休ませます。
  • 水分補給:発熱で脱水気味になりやすいので、こまめに水分を摂らせます。
  • 耳を清潔に保つ:耳だれがある場合は、濡れタオルやガーゼでやさしく拭き取ります。
  • お風呂やプールは避ける:症状がある間は耳に水が入らないように注意しましょう。



急性中耳炎になったらどの病院に受診すればいい?

急性中耳炎は、小児科または耳鼻咽喉科で診察・治療を受けることが可能です。

どちらを受診すべきか

  • 小児科:発熱や風邪症状など全体的な体調管理も含めて診てもらいたい場合、小児科が適しています。
  • 耳鼻咽喉科:耳だれがひどい、繰り返し中耳炎を起こす、鼓膜切開や吸引処置が必要な場合は耳鼻科を受診しましょう。

また、夜間や休日に症状が現れた場合は、救急外来や夜間小児急病センターを利用することも考慮してください。



急性中耳炎になったら幼稚園・保育園は通わせられる?

急性中耳炎は、一般的には感染症ではないため、登園禁止の感染症リストには含まれていません。ただし、以下の点を考慮して登園の判断をする必要があります。

登園の目安

  • 発熱が下がり、全身状態が安定していること
  • 耳の痛みが軽減し、ぐずりや不機嫌が落ち着いていること
  • 医師の許可がある場合(特に耳だれや鼓膜切開後など)

保育園や幼稚園によっては、医師の登園許可証が必要なケースもありますので、必ず施設側の方針を確認してください。



まとめ

急性中耳炎は、子供の約8割が3歳までに一度はかかるといわれるほど、非常に一般的な病気です。風邪をきっかけに発症することが多く、早期の対応と治療により重症化を防ぐことが可能です。
以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • 初期症状に注意し、耳の痛みや発熱がある場合は早めに医師に相談する。
  • 必要に応じて抗生物質や鎮痛剤を使用し、家庭では安静と水分補給を心がける。
  • 小児科または耳鼻科を受診し、医師の指示に従う。
  • 症状が改善していれば登園は可能だが、無理をさせず医師と相談して決める。

正しい知識と冷静な対応が、子供の健康を守る第一歩になります。